製紙工場の煙突からのぼる煙。愛媛県四国中央市には大手製紙メーカーの丸住製紙、大王製紙などの工場が集まる製紙工場の煙突からのぼる煙。愛媛県四国中央市には大手製紙メーカーの丸住製紙、大王製紙などの工場が集まる Photo:JIJI

2月に経営破綻した四国の丸住製紙が破産や特別清算へ移行するリスクが高まっている。名門製紙はなぜここまで行き詰まったのか。実は、同社は破綻に追い込まれる1年3カ月前に、コンサルティング大手、経営共創基盤(IGPI)の主導で「事業再生計画」を策定していた。ダイヤモンド編集部は、業績悪化の要因や再建策などが盛り込まれた、その内部資料を独自入手した。内部資料からは丸住製紙が破綻した理由に加え、企業の「コンサル頼み」の実態も浮かび上がる。内部資料や取材を基に、3回に分け、丸住製紙の経営破綻の全貌を明らかにしていく。前編となる本稿では、IGPIが列挙した、丸住製紙の業績悪化を招いた24項目の「原因」を明らかにする。そこからは再建を阻んだ“縦割り文化”や“ぬるま湯”ともいえる経営姿勢が浮かび上がる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

丸住製紙破綻前の再生計画を独自入手
経営共創基盤が示した24項目の「原因」

 四国を代表する製紙会社、丸住製紙(愛媛県四国中央市)は2月末に民事再生法の適用を申請した。3月上旬の債権者集会で経営陣は「今後3カ月以内にスポンサーを確保し、その間の資金繰りにも支障はない」と説明していたが、支援企業は一向に決まらず、すでに3カ月が経過している。

 再生計画案を東京地裁へ提出する期限は6月12日。スポンサー不在のまま、破産や特別清算へ移行するリスクが高まっている。なぜここまで名門製紙は追い詰められたのか。ダイヤモンド編集部は丸住製紙関係者から、2023年11月に策定した金融機関向けの「事業再生計画」を独自入手した。

 22年11月期の純損益が117億円の赤字に陥った同社は、金融機関に元本返済猶予を要請し、23年12月から私的整理手続きを開始した。その際、コンサルティング大手の経営共創基盤(IGPI)が中心となって作り上げたのが、事業再生計画である。

 入手した事業再生計画は100ページ超に及び、業績悪化の原因や、業績の改善策、損益の具体的な改善計画などが盛り込まれている。ただし、当時、金融機関からは「実現不可能なばら色の計画」との批判も出たが、果たしてその中身はどうだったのか。

 内部資料からは丸住製紙が破綻した原因に加え、企業の「コンサル頼み」の実態も浮かび上がる。まず、IGPIが挙げた業績悪化の「直接原因」の12項目と「根本原因」の12項目を紹介する。丸住製紙が抱える構造的な問題が多いが、経営不振に陥る企業がはまりやすい“落とし穴”も存在する。次ページで、全24項目の原因を読み解いていく。