
ついにNTTドコモが動いた――。KDDI、ソフトバンク、楽天がすでに展開していたネット銀行事業に、最後発のドコモが「住信SBIネット銀行」の買収という強力なカードで参入しました。通信業界の巨人がなぜ今、ネット銀行の世界に飛び込むのか?そしてこの動きが、メガバンクを脅かすほどのインパクトを生む理由とは?本記事では、他の通信3社との違いや、金融市場に起きるかもしれない地殻変動を3つの視点から読み解きます。四つ巴なんてとんでもない…独走するドコモだけが描ける未来がありました――。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
「住信SBI銀の子会社化」で
ドコモが競合を圧倒する
NTTドコモがネット銀行大手のSBIネット銀行を、TOBで子会社化することになりました。ライバルのKDDI、ソフトバンク、楽天はそれぞれネット銀行を持っているのですが、これまでドコモだけが銀行を持っていなかったのです。
それで今回、通信大手4社の体制が出揃ったというのが冒頭のニュースなのですが、報道されている内容が経済の専門家からみるとちょっと物足りません。
「どんな理由で通信4社が銀行を持つのか?」
「それぞれまちまちな規模の銀行子会社なのにどう出揃ったと言えるのか?」
と考えると、むしろ4社それぞれが違うようにしか思えないのです。
そもそも、これまで他の携帯3社の銀行戦略はうまくいっていなかったのです。その前提で今回のドコモと住信SBIネット銀行の資本提携は、携帯と銀行の融合ビジネスとして日本で初めてうまくいく可能性がある戦略が描けたのだと私は考えます。
そのことについて今回の記事では3つの視点で解説したいと思います。