「羊羹(ようかん)を100字以内で説明せよ」→谷崎潤一郎の“答え”が芸術すぎてぐうの音も出ない…Photo:PIXTA

「言語化力」が高い人は、目の前で起きている事象を即座に平易な言葉に変換でき、プレゼンスキルも格段に高い。仕事はもちろん、プライベートも円滑にする言語化力を鍛える“メソッド”について、教育学者の齋藤 孝氏が紹介する。※本稿は、齋藤 孝『最強の言語化力』(祥伝社)の一部を抜粋・編集したものです。

1枚の絵を見て
言葉にするトレーニング

 一般に言語化力が高い人は、目の前で起きていることを簡潔にわかりやすく言葉にする作業をストレスなく行なうことができます。

 このスキルを高めるための練習としては、写真や絵を瞬間的に見て、これを短時間で説明するというトレーニングが効果的です。私は小学生向けの「齋藤メソッド」の授業で採用していましたし、テレビ番組でもタレントさんたちに実践してもらったことがあります。

 やり方は、1枚の絵や写真もしくはモノをお題として、それを5秒から10秒見てもらってから伏せて隠し、そこから30秒でどんな絵や写真だったかを思い出して話してもらうというものです。

 秒数は場に応じて調整してもいいですが、必ず短めに設定をしてタイムプレッシャーを作り、時間の縛りの中で行なうことがいい練習になります。

 言語を通じて映像のイメージを相手に伝え、伝えられた側は最後に絵を見て答え合わせをし、その結果「イメージと全然違った。説明が下手だな」といわれてしまうのか、あるいは「ほぼイメージ通りだったよ!言語化力が高いね」と評価されるかは、伝える人の説明次第です。

 写真や絵は言葉で構成されていませんから、それを会話で伝えるには、ゼロからの言語化力が問われるわけです。